日本財団 図書館


 

金谷町社会福祉協議会の会長である金谷町長が適正な税の負担を住民の方達にお願いして、それに対して必要とする福祉サービスを提供していく、このバランスをどのようにしていったらよいのか、税を財源とする公的な福祉サービスだけでこれからの高齢社会の要介護者が必要とするサービスを提供することができるのかという疑問でした。そこで、地域の住民が地域の福祉課題についてもお互いに助け合っていけるような組織作りが必要であると思います。それが結果として税を軽減するし、福祉サービスを充実させることにつながるのではないかと考えたわけです。
住民参加型の時間預託制度の「福祉サービス銀行」の大まかな仕組みは、社会福祉協議会を銀行として、そこでは会員の登録、サービスを利用する方とサービスを提供してもいいという方の調整、そしてその活動を記録します。この銀行を支える会員はお年寄りや障害者の方々、子育て中のお母さん等々サービスを受ける方を利用会員、サービスを提供する方を協力会員としました。組織のなかで当然お金もかかりますので、労力ではなくて経済的に参加したいという人のために賛助会員も作りました。協力会員は静岡県下の同じようなことをする団体と比べると、金谷町の場合はちょっと変わっています。初めは町ぐるみでこの銀行を確立しようということで考えていましたが、お年寄りや困っている方のためにサービスを提供するということは誰でもできるというわけではありません。ですから、皆が参加できる事業にするために、公共の福祉の環境美化、社会福祉施設訪問などの誰でも身近で気軽にできるものも活動対象にしたことです。協力会員の活動を「相手がいるサービスをする福祉ボランティア」と「環境美化など公共のための奉仕活動をする一般ボランティア」と、活動内容により2つに分けました。福祉ボランティアはお年寄りなどにサービスをすると1時間を1点で預託することができて、自分が将来年をとり、障害で寝たきりになった場合などには、その点数をおろして時間分のサービスを受けることができます。一方、一般ボランティアの方は、あくまでも自主的な活動ということで報酬はないのですが、自分が町づくりに参加したことを数値化することにより、今後の励みになるのではないかと思い、半日を1点で記録をしています。ですから将来自分が困ったときに受けられる福祉活動点と、自分が町づくりにどれだけ参加したかということを数値化した奉仕活動点の2つに分けて銀行がそれぞれ管理している点が特徴になっています。昨年(95年)の10月13日に発会式を行い、ようやく1年を迎えました。

 

長倉 どうもありがとうございました。ではもうひと方、通訳をしながらお話を聞いているヘロン久保田雅子さんです。ヘロンさんは通訳が本業ではなくて、いろいろな意味で街づくりのことについて活動しておられるので、そのことについてお話いただけたらと思います。

 

●タイムダラーとコミュニティーの活性化のつながり

 

ヘロン久保田雅子
愛媛県松山市から参りました。私は18年間半アメリカにおりまして、実際にボランティア活動に携わってきました。11年前に松山に帰国しまして、その後、WACの田中さんと知り合い、いろいろと勉強させていただきました。アナ・ミヤレスさんも田中さんを

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION